子どもの強迫性障害「収集癖」の具体的な10の症状(体験談3)

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子どもの強迫性障害、収集癖の具体的な10の症状

強迫性障害の中でも、集めた物や情報に異常に執着するタイプが「収集癖」です。他の人から見るとどうでもいい物がどうしても捨てられなかったり、落ちている物(ゴミ)が気になり拾わずにいられなかったりします。

この「収集癖」には具体的に、どのような症状があるのでしょうか?

この記事では、我が家の次男もっちゃん(当時小学1年生)に突然現れた強迫性障害「収集癖」の10の症状をご紹介します。

すべての人に同じ症状が出るというわけではありませんが、「収集癖」について詳しく知りたい方の参考になればと思います。

※この記事は連載ものです

  1. 強迫性障害になった子どもへの家族の接し方と対応(体験談1)
  2. 子どもが強迫性障害になった時の病院や相談窓口は?(体験談2)
  3. 子どもの強迫性障害「収集癖」の具体的な10の症状(体験談3)←いまここ
  4. 強迫性障害の「巻き込み」に応じないための5つのコツ(体験談4)
  5. 子どもの強迫性障害、病院へ行かず薬なしで克服した方法(体験談5)
  6. 強迫性障害の子ども、小学校へは行かせる?休ませる?(体験談6)
  7. 強迫性障害の原因が判明!岡嶋美代先生のカウンセリング(体験談7)
  8. 強迫性障害を克服した本人へのインタビューと家族の変化(体験談8)

はじめに ~本人の気持ち~

これから具体的に症状を挙げていきますが、通常の感覚では理解できないものばかりです。本人も、「おかしなことをしている」とわかっているし、「どうしてこんなことをしているんだろう、もうやめたい」と思うそうです。

ところが、「捨ててしまったら二度とめぐり合えない!」という強い考えが浮かんできてしまうと、失う恐怖に耐えられずこういった行動をとってしまうようです。

強迫性障害「収集癖」の症状

1 物が捨てられない

子どもの強迫性障害、収集癖の具体的な10の症状

鼻をかんだティッシュペーパーや紙くずなど、今までは普通に捨てられていたすべての物が捨てられなくなりました。仕方がないので、もっちゃん専用のゴミ入れを用紙して「捨てられるようになったら捨てようね」ということにしました。

ゴミ入れがいっぱいになると2階の使っていない部屋に並べていたのですが、どんどん増えていく大きなゴミ袋を見るとすごく憂鬱でした。また、袋を二重にするなど対策をしても結構匂いがもれるのも辛かったです。

2 これまでに捨てた物をすべて集めたくなる

これまで捨ててきた物が次々と頭に浮かぶようで、その度に「ここに戻して!」と泣き出しました。

例えば赤ちゃんの時に使っていたチャイルドシートはリサイクルショップに売ったのですが、リサイクルショップまで行ってもう一度買いたいと言って大泣きしました。また、ゴミについては処理場まで連れて行けと大騒ぎでした。

3 目に入った落ちている物はすべて拾いたくなる

子どもの強迫性障害、収集癖の具体的な10の症状

外を歩いていると、道端に落ちている小石や枯葉、枯れ枝などを拾わずにいられませんでした。また、車に乗っていてもビニール袋(自分のものではない)が落ちていたから戻って拾いたいと突然泣き出します。拾わせないと大泣きのパニック状態になるし、拾い出すとキリがないので外出は控えていました。

家の中でも目についたチリや埃をいちいち拾って歩きます。また、窓の外で葉っぱが風に舞っていたから取りに行きたいと騒ぎ出します。そのため、窓の外が気にならないよう部屋のカーテンを閉め切っていました。

4 自分の体から出るものが気になってしまう

・唾液

「飲み込んでしまったら二度とめぐり合えない」という理由で、唾が飲み込めなくなりました。なので、唾はティッシュペーパーに吸い込ませて自分のゴミ入れ行きです。

・排泄物

子どもの強迫性障害、収集癖の具体的な10の症状

また、同じ考えでトイレに排泄物を流せなくなりました。汚い話ですが、ウンチは新聞紙にくるんで匂いがもれない防臭素材のビニール袋(介護用)に入れ、専用のゴミ入れへ。

さすがにオシッコまでそうするわけにはいかないので、しばらくトイレにそのままにしておき、恐怖心が薄れたところで私が立ち会って流すようにしていました。が、もっちゃん本人は本当は流したくないので、尿意を我慢して漏らしてしまうこともよくありました。

・吐く息

自分の吐く息も同じように気になっていました。なるべく息を止めて時々そうっと吐き出していましたが、部屋の外に息が出て行ってしまうという理由で、ドアや窓を閉め切っていました。また、ドアや窓を閉めていても隙間から空気が漏れるのが気になるようでした。

5 食べ物が食べられない

食べると姿が無くなるという理由で、最初の数日間は塩むすび以外食べられなくなりました。ふっくらしていたもっちゃんの頬はみるみるこけていき、成長期なので栄養面でもとても心配しました。お願いだから他の物も食べて!と思いましたが、むりやり口に入れることはできません。

少しずつですがおかずにも箸が伸びて食べられるものが増えた時には、本当にホッとしました。

子どもの強迫性障害、収集癖の具体的な10の症状

でもお正月に用意したすき焼きなどのご馳走は、食べられませんでした。本人の感覚では、美味しい物ほど姿が無くなってしまうのが辛いそうです。大好きな蟹爪を食べようと30分間向き合っても食べられなくて、もっちゃんがしくしく泣きだした時には私も泣きたかったです。

6 食後のお皿を洗われるのが嫌

お皿に残った食べかすが、お皿を洗った時に取れて排水口に流れてしまうのが嫌で、お皿がピカピカになるまで濡らしたティッシュペーパーで拭き取っていました。そのティッシュペーパーはもちろん専用ゴミ入れ行きです。ひどい時には1時間近くお皿を拭き続けていました。

また、拭き終えたお皿を洗って欲しくないと言い、私が洗い物を始めると嫌がって別の部屋へ行ってしまいました。

また、家の排水がどのようにして川や海へ流れていくのか知りたがったので、ちょうど浄化槽について授業で習ったばかりの長男ほーくん(当時小4)に教えてもらいました。

7 飲み物が水以外飲めない

子どもの強迫性障害、収集癖の具体的な10の症状

飲み物は水以外、飲むことができなくなりました。また、コップに入れた水はすべて飲み干さないと気が済みません。そして、コップについた水滴はすべて拭き取り、拭き取ったティッシュペーパーは専用ゴミ入れへ。

8 お風呂に入れない

お風呂に浮かぶ髪の毛や小さなホコリなどが、いずれは排水口に流れてしまうと思うとそれを見ることが苦痛になってしまい、湯船につかることができなくなりました。

夫が「電気を消したらどう?」と提案すると、電気を消した状態でならお風呂に入れるようになりました。

9 洗髪・散髪ができない

子どもの強迫性障害、収集癖の具体的な10の症状

症状がひどい時には、髪の毛についた汚れが取れて流れてしまうという理由で髪の毛が洗えませんでした。

また、髪の毛を切ることもできなくなりました。しばらくはボサボサでもまぁいいか、と我慢していたのですが、症状が少し軽くなってから「切った髪を持ち帰る」という条件で美容院へ行くことができました。

美容師さんは、床に散らばった髪をかき集めてビニール袋に入れるもっちゃんを不思議そうに眺めていましたが、髪を持ち帰ることを許可してくれてありがたかったです。

そうそう、切った爪も専用ゴミ入れに入れていました。

10 出来事(情報)を忘れたくなくて記録する

子どもの強迫性障害、収集癖の具体的な10の症状

その日にあったことを忘れたくないと言って、日記をつけたがりました。そこで専用のノートを用意して好きなように書かせていました。

日記を書くことは気持ちの整理につながると思ったので自由に書かせていましたが、起きたことすべてを書こうとして「全部は思い出せない~(泣)」とよく焦っていました。

日記をつけることを楽しめてはおらず、ただただ記憶を失う恐怖に突き動かされているようでした。

まとめ

子どもの強迫性障害、収集癖の具体的な10の症状

幼いころからこだわりが強い面もありましたが、明るくてひょうきんで家族のアイドルだったもっちゃんから笑顔が消えてしまった日々は、今振り返っても涙が出てくるほど辛かったです。

強迫性障害は「脳の心配回路が原因」なのだそうですが、私たちの脳は気にしなくていいことを気にしないようにしてくれているということなんですね。そう考えると、脳が正常に働いてくれていることに感謝です。

次回は、強迫性障害の諸症状を悪化させない方法について書きたいと思います。

≪参考文献≫2017年 株式会社ナツメ社 原井宏明・岡嶋美代著『やさしくわかる強迫性障害

※参考文献はこちらの記事で詳しくご紹介しています

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コメント

  1. yoshiohd より:

    こんにちは 保育園年長6歳の息子の父です
    ちょうど1週間前に息子に急激な異変が見られました
    二、三日の間は何が起きているのかわからずでしたが、このブログに辿り着き強迫性障害の症状と似ていることに気付きました
    息子の場合は潔癖症と思われます
    今のところは私たちの判断によるもので医師の診断ではありません
    もちろん診察も受けるつもりです
    今は親子3人で、不安くんをやっつける闘いに立ち向かっています
    本当に参考になり救われました
    ありがとうございます。

    1. さくらい理子 より:

      こんにちは。
      yoshiohd様、コメントありがとうございます。

      急激な異変にさぞかし驚かれたことと思います。
      親御さんはもちろん、息子さんも大変苦しんでおられると思います。
      どうか息子さんと息子さんの行動は切り離して考えていただければと思います。

      しばらくはお辛い日々が続くかもしれませんが、明けない夜はありません。

      yoshiohd様ご家族の幸せを、心よりお祈りしております。

  2. sakura より:

    はじめまして。
    ブログを読んで、とても参考になりました。
    お聞きしたいことがあり、コメントしました。
    脅迫観念を無視して、不安が強くなって、どうしても耐えられない時、本当はしてはいけませんが、もし、手洗い脅迫なら、最終手段として手を洗って一時的に不安を下げられます。
    でも、もっちゃん君と同じように、物を捨てて、二度とめぐり合えないのが怖い場合、物を捨てたら物がないので、最終手段がありません。
    そのような条件下でも、物を捨てた後の恐怖感は、自然に下がるのですか?

    1. さくらい理子 より:

      ブログへのコメント、ありがとうございます!
      ご質問の件、もっちゃんの場合はおっしゃる通り、モノを捨てた場合にそれを手元に戻すことが出来ないことがほとんどでした。
      それで、やはり一時は大騒ぎ(大声を出して大暴れする)するのですが、こちらが冷静に
      「そうだね、もう捨てちゃったから無いよね。」
      などと対応していると、いつも15分位で興奮状態は落ち着き、だんだん恐怖心が薄れていく様子がみられました。
      不思議なことですが、それがその頃の私たちにとって唯一の救いでした。

  3. たまお より:

    はじめまして!

    娘が体調を崩したのをきっかけにティッシュやマスクなど、今まで普通に捨てられていたものが捨てられなくなってしまい、歩いていると石や葉やよくわからないものも拾っていて、本当に悩んでいました。
    このブログに出会えて、どうしたら良いのかわかりとても救われています。
    私も自分が余裕のないときに臭いの付いたお菓子のゴミなどは、虫がきちゃうから捨てて!と強く言ってしまったりしたので、反省しています。

    ブログの中で紹介されていた本も購入し、カウンセリングも予約させていただきました。
    娘も今の状況が辛く泣いていました。
    何とか早く抜け出してあげたいなと思っています。

    息子さんは、大変だった3ヶ月よりも前は特にオモチャや洋服など捨てられないものはなかったですか?
    私の娘は、ティッシュなどは最近ですが、もともと物を捨てるのを凄い嫌がる性格で、なかなか使わなくなったものも捨てられません。
    それも少しずつ改善出来たらいいなと思っています…

    1. さくらい理子 より:

      たまお様

      コメントをいただき、ありがとうございます。

      娘さんが突然、それまで普通に捨てられていたものが捨てられなくなってしまい、驚かれたことでしょう。
      でも、いろいろと調べられたり本を読まれたり、カウンセリングも予約されたとのことで素晴らしいですね!

      さてご質問の件ですが、もっちゃんもたまお様の娘さんと同じく、モノを捨てるのが得意ではありませんでした。特におもちゃは「まだ使う!」と言っては赤ちゃんの時のものまで捨てられませんでした(^_^;)

      ただ症状が治ってからはそういったこだわりがほぼ無くなり、要る・要らないの判断が素早く出来るようになり適切にモノを捨てられるようになりました。

      娘さんも少しずつでも捨てられるようになるといいですね。親としては非常にもどかしいですが、親ができるのは焦らず気長に見守ることですかね…。

      娘さんが笑顔で過ごせる日が一日も早く訪れますよう、心から祈っています。

      1. たまお より:

        そうだったんですね!!!!
        今は、今まで捨てられたものが捨てられるようになってくれたら十分ですが、いずれ娘もなかなか捨てられなかったオモチャなども捨てられるようになったら、物凄く嬉しいです…..
        希望が持てるお返事で嬉しいです!
        うちもいつかそうなって欲しいな(T ^ T)

        お婆ちゃんたちも近くにいたり習い事の発表会が多かったり、何かともらう機会が多くて、何かと物が増えがちで、全然使ってないモノも沢山あって、それがまた私のストレスになってしまって(T ^ T)

        でも、ほんとに「気長に待つ」という親の姿勢が何よりですね!!

        私の本当の気持ちはかなり焦ってしまいますが、そこは思いとどまって、気長に待とうと思います。

        こんな風にやり取りできることもほんとに心の支えです!

        カウンセリングの予約は来週になりますが、色々と相談してみようと思います。

        本当にありがとうございます!

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