強迫性障害の原因が判明!岡嶋美代先生のカウンセリング(体験談7)

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強迫性障害の原因は?岡嶋美代先生のカウンセリング

うちの子はどうして強迫性障害になってしまったんだろう?

子どもの強迫性障害で気になるのはやはり、その原因ではないでしょうか。

この記事では、我が家の次男もっちゃん(当時小学1年生)の、強迫性障害の原因がわかった時のことを書きます。小学1年生の冬休み、突然現れた「収集癖」の症状の原因は、私が思いもよらないことだったのです。

強迫性障害で悩んでいる方へ、少しでも参考になればと思います。

※この記事は連載ものです

  1. 強迫性障害になった子どもへの家族の接し方と対応(体験談1)
  2. 子どもが強迫性障害になった時の病院や相談窓口は?(体験談2)
  3. 子どもの強迫性障害「収集癖」の具体的な10の症状(体験談3)
  4. 強迫性障害の「巻き込み」に応じないための5つのコツ(体験談4)
  5. 子どもの強迫性障害、病院へ行かず薬なしで克服した方法(体験談5)
  6. 強迫性障害の子ども、小学校へは行かせる?休ませる?(体験談6)
  7. 強迫性障害の原因が判明!岡嶋美代先生のカウンセリング(体験談7)←いまここ
  8. 強迫性障害を克服した本人へのインタビューと家族の変化(体験談8)

溜まり続けるごみ

強迫性障害の原因は母親?岡嶋美代先生のカウンセリング

1月も下旬になり、強迫性障害の症状はかなり落ち着いてきましたが、それでも困っていたのが「捨てられないごみ」が溜まっていくことでした。

ごみは、もっちゃんが捨てる気になったら捨てようということで専用のごみ袋に入れ、2階の使っていない部屋に並べていました。すでにいっぱいになった45リットルのごみ袋は3つ。

少しは捨てられるものも出てきましたが、大抵の物は捨てられないのでごみは毎日増え続けます。夏の暑い時期ではなかったのでまだマシですが、冬でもそれなりに匂いがもれるので苦痛でした。

外で拾って来た石や木の枝は庭の一ヶ所にまとめて置いていたのですが、それもこんもりと山になっていました。

岡嶋美代先生のカウンセリング

強迫性障害の原因は母親?岡嶋美代先生のカウンセリング

私は先の見えない不安に負けそうになっていました。

「もしかしたら、もっちゃんはこのままずっとごみを捨てられないんじゃないか。そしたら家がごみ屋敷になってしまう。やはり本人が対面カウンセリングを受けた方が良いのではないか?」

そんな考えが頭の中を占めていきました。そして夫と相談した結果、本人がカウンセリングを受けるべきかどうかを聞くためにも、一度電話で家族カウンセリングを受けてみようということになりました。

相談先は、愛知県にある『BTCセンターなごや』です。ここなら自宅からでもなんとか通える距離です。

岡嶋美代先生は強迫性障害の臨床経験が豊富な専門行動療法士の方で、私が毎日開いて参考にしていた書籍『図解 やさしくわかる強迫性障害』の著者でもあります。少し緊張しながら予約を済ませました。

そして電話カウンセリングでは、これまでの経緯をすべて説明しました。

強迫性障害の原因は母親の○○

強迫性障害の原因は母親?岡嶋美代先生のカウンセリング

すると、岡嶋先生からは思いがけないことを言われました。

それは、もっちゃんの強迫性障害は、症状としては「収集癖」だけれど、強迫性障害のタイプとしては「縁起強迫」であるということでした。

縁起強迫
何かの行いの瞬間、頭に縁起の悪いことがよぎり、自分や家族に災いが起こるかもしれないと恐れ(強迫観念)、その考えが消えるまでその行いをやり直したり、回数にこだわるなど一定の縁起のよい行いによって安心を得ようとします(強迫行為)。

≪2017年 株式会社ナツメ社 原井宏明・岡嶋美代著『やさしくわかる強迫性障害』17pより引用≫

もっちゃんが恐れていた「自分や家族に起こる災い」とは何だったのか?

それは、「母親を失うかもしれない」ことだったのです。

冬休みの初日に私がインフルエンザにかかって寝込んでいたことで、もっちゃんは「もしかしたらお母さんが死んでしまうかも知れない」とものすごく不安になってしまい、その不安な気持ちが「収集癖」という症状になって出てきてしまったようなのです。

もっちゃんの「物を捨てられない」という行動は一種の「験担ぎ(げんかつぎ)」であり、それは強迫性障害の中でも「縁起強迫」にあたるということでした。

岡嶋先生は、「お母さんを心配して、とっても優しいお子さんなんですね。」と言ってくださいました。

表面的に現れた症状しか見ていなかった私は、もっちゃんの不安や恐怖を想像して涙が溢れました。

もっちゃんが抱えていた恐怖

強迫性障害の原因は母親?岡嶋美代先生のカウンセリング

考えてみると、私がもっちゃんと離れて寝るのは初めてでしたし、何日も別の部屋で過ごすことなんてありませんでした。大人からしたらインフルエンザは数日間寝ていれば治るものだとわかっていても、子どもからすると大変な病気だと思ってしまったのかもしれません。

もっちゃんは昔から自分の想いを表現することがあまり得意ではありませんでした。だから「母親を失うかもしれない」という恐怖心と闘いながらもその気持ちを吐き出すことができず、症状になって現れてしまったのでしょう。

どうして気付いてあげられなかったんだろう。どうして「お母さんは何日か寝ていればすぐに良くなるからね。」と声をかけてあげられなかったんだろう。私は自分のことしか考えていなかったことを悔やみました。

岡嶋先生には、まずはお子さんを安心させてあげましょうと言われました。

カウンセリングでの気づき

強迫性障害の原因は母親?岡嶋美代先生のカウンセリング

それから大切なのは、症状に対して深刻にならないことだと言われました。母親の緊張感は子どもに伝わってしまうのだそうです。

なので、例えば「捨てたくない。」と子どもが言った場合には、「捨てたくないんだ…。」と深刻になるのではなく、軽い感じで「捨てたくないんだ。へぇ~。」と言う方が、本人にとっては良いのだそうです。

振り返ってみると私は結構深刻な感じになってしまっていたので、これからは対応を変えていこうと思いました。

岡嶋先生には、他にも本人への対応についてたくさんのアドバイスをいただきましたが、中でも私が一番感銘を受けたのは、

『悪い暗示より、良い暗示を選びましょう』ということでした。

「悪くなってしまうかも知れない。」といった不安な気持ちではなく、「きっと良くなるだろう。」という前向きな気持ちで接すると、自然に言葉も行動も変わるのだということでした。

そうやって周りの家族がちょっと方向性を変えてあげるだけで、パーっと良くなる場合がありますよ、と岡嶋先生は教えてくださいました。

確かに、その頃の私は自分で自分を悪い暗示にかけていたようなところがありました。「そうだ、もっちゃんが良くなることを信じよう!」そう考えただけで、目の前が本当に明るくなった気がしました。

今後のすすめ方について

本人が対面カウンセリングを受けた方が良いかということについては、今すぐには必要無いし、家庭で模範的な対応ができているのでそれを続けてみましょうということでした。

そして溜められたごみについては、少しずつ親の方から声かけをしてみましょうとのことでした。

具体的にはごみをランク付けし、ランクの低い物から順に捨てていくようにします。もっちゃんはすでにごみを「絶対に捨てたくない物」「捨てたくない物」「なんとか捨てられそうな物」の3種類に分けていたので、まずは「なんとか捨てられそうな物」からチャレンジしていきます。

カウンセリングのその後

強迫性障害の原因は母親?岡嶋美代先生のカウンセリング

岡嶋先生の家族カウンセリングによって、まず私が明るい未来を見られるようになり、それが夫や兄のほーくんに、そしてもっちゃんへと広がっていったように思います。

以前は「早くごみを捨てさせなきゃ」と目の前のことばかりに焦っていた私も、なぜもっちゃんがごみを捨てられなかったのかを理解したことにより、視点が変わりました。「ごみを捨てられるまでどれだけ時間がかかってもいいや」と思えるようになり、心にも余裕が生まれました。

そしてまずはもっちゃんとじっくり向き合う時間をとって、

「お母さんがインフルエンザになっちゃって、もっちゃんは怖くて怖くてたまらなかったんだよね。でも、お母さん今はもう治ったし、元気になったからね。これからは不安な気持ちや怖い気持ちをお母さんにも教えてね。自分の気持ちはどんどん言っていいんだからね。」

と伝えました。

もっちゃんは「うん、うん。」と言いながら聞いていましたが、途中からは声を上げて泣き出しました。そしてこれまで抑えてきた気持ちを吐き出すように、しばらく泣き続けたのでした。

それからは、岡嶋先生からご指導いただいた方法でごみ捨てにチャレンジしていきました。先生からは「平日と休日で本人の反応が違うことがある」と教えていただいたので、毎日声かけをしていきました。すると、確かに平日よりも休日の方が積極的にごみ捨てにチャレンジする様子が見られました。

目標の設定、そして…

そんな日々が続き、ついに3月になりました。「なんとか捨てられそうな物」ランクのごみは、もう普通にごみ箱に捨てられるようになっていました。あともう一息、何か勢いがあればいけそうです。

思い切って捨てられるきっかけとして何か楽しみを用意できないかと考えていたところ、ほーくんが「ごみを全部捨てられたら春休みに映画ドラえもんを見に行くのはどう?」と提案してくれました。もっちゃんはドラえもんが大好きです。

早速もっちゃんにそれを目標にしてみない?と聞いてみると、にやり。

「映画を観る時にポップコーン買ってもいい?」とすでにノリノリです(笑)。

春休みに入った初日、私が声をかける前にもっちゃんが私に大きな声で言いました。

「お母さん、ごみ全部捨てる!」

2人で一緒に、2階から重たい大きなごみ袋を5つ、よいしょ、よいしょと外へ運び出しました。外にあった石や木の枝ももう取っておかなくて大丈夫だと言います。

「もっちゃん、おめでとう!やったね!!」

ほーくんと3人でバンザイをしました。

仕事中の夫にもすぐにメールで知らせました。お父さんが帰ったら、みんなでまたバンザイしようね。

まとめ

強迫性障害の原因は母親?岡嶋美代先生のカウンセリング

今回は、岡嶋美代先生のカウンセリングによってわかった、もっちゃんの強迫性障害の原因について書きました。

原因を探すことが必ず解決につながるとは限りませんが、私たちの場合には原因がわかったことは強迫性障害を治していく上で必要なことだったのだと思います。

岡嶋先生には、私たち家族でもわからなかったもっちゃんの気持ちを教えていただきとても感謝しています。そして、『良い暗示』のお話は、これからの人生のあらゆる場面で生かせるのではないかと思っています。岡嶋先生、本当にありがとうございました。

もしも今、目の前が真っ暗でどうしたら良いかわからなくなっているのなら、専門家のカウンセリングを受けてみませんか?

暗闇に光が差し込み、一歩を踏み出せるきっかけになるかもしれません。

 

★私が利用したカウンセリングセンターのHPはこちら
↓ ↓
BTC(行動療法カウンセリング)センター東京/なごや/京都

 

★おすすめの本はこちらの記事でご紹介しています
↓ ↓
強迫性障害にはこの本がおすすめ!『図解やさしくわかる強迫性障害』

 

★ご感想やご質問など、お気軽にコメントいただけると嬉しいです(*^^*)

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コメント

  1. 岡嶋美代 より:

    このブログを患者さんに教えてもらいました。「自分とそっくりな症状が書いてあった」と。その方にとっては、自分も治るかもと希望を持てたはずです。詳しく書いていただき、ありがとうございました。
    治療者の目線からではわからない家庭での細やかな観察が盛り込まれていて、素晴らしい作品に仕上がっていると思います。ドキュメンタリーっていいですね。今後は、子どもさんの強迫に悩む方々にブログを紹介させていただきます。小学生までのお子さんたちは数回の相談で治ることが多いため、症状が固定化する前に相談されるのがいいですね!

    1. さくらい理子 より:

      岡嶋先生からこのようなメッセージをいただけて感激しています。(本当に感動し過ぎて泣いてしまいました)ありがとうございます!!

      もっちゃんは今年、小学校を卒業します。
      おかげさまでその後は症状が出ることもなく、元気に小学校生活を送ることができました。

      この出来事があってから、もっちゃんは自分の意見をはっきりと言えるようになりました。きっともっちゃんにとっては、自分が自分らしく生きるために必要なことだったのだと、今はこの出来事に感謝しています。

      このブログが、今まさにお子様の症状で辛い思いをされているご家族の皆様に、少しでも参考になれば幸いです。

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